平塚市博物館見学記

今回も徳川家康関連の展示である。『ひらつかの家康伝説展』を見学した。昨年の静岡県、愛知県などの展示だと家康が生まれ育ち活躍し亡くなった地なので、史資料が豊富でその中の良いものを展示する傾向にあった。また、日光東照宮、德川記念財団等から借りてきて目玉にするということもあった。それに対し、今年のいくつかの展示はコンセプトがはっきりしていることがうれしい。平塚市と家康との関係は中原御殿ぐらいしか思い浮かばなかったが、随分いろいろ遺物、史料があって初めて見るものも多かった。

小田原合戦を前振りに家康の関東入部から大坂の陣前後までの関係する遺物を古文書、史料とともに解説している。特に『相中留恩記略』を多用しており、地誌も非常に有効な材料といえよう。古文書、史料には釈文もついている。中原御殿、中原代官についても絵図等を使って展示しているが、ともに江戸初期に廃止されたのが惜しまれる。展示で多くのスペースをさいているのはサブタイトルに「由緒と地域」とあるように伝承のパートである。23の事例をあげている。一つの市でこれだけあるのであるから、相模の国に限っても膨大な伝承があるであろう。真偽はともかくこれらの伝承、伝説も大切な歴史資料になりうる。

今回のような地域密着型の展示こそ市町村立の博物館、資料館の役割の一つであろう。図録は900円で販売している。展示に沿って解説しているので分かりやすい。これど論考でものっていればなおよかったが。

開催期間

2016年3月19日から5月8日まで開催。

見学日
2016年4月24日
2016年5月2日